※当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

脚本の書き方

【簡単】ドラマ脚本の書き方|回想・カットバック・モノローグの書き方は?

ドラマの脚本ってどう書くの?

回想シーンや心情の具体的な書き方は?

ドラマのあの名シーン、実際に脚本ではどのように描かれているのか知りたいと思うこともありますよね。

ドラマは小説と異なり、全てを映像でわかるように表現しなければなりません。そのため、ドラマの脚本は、下記のような独特の書式で作成されます。

ドラマ脚本では、「太郎は~と思った」というような心情表現を使わずに、全て登場人物の行動など映像で具体的に描写します。そうすることで、監督や俳優、道具・照明スタッフが撮影の準備をし、映像にしていくことができるのです。

ドラマ脚本は、いわば映像化するための設計図・指示書といっていいでしょう。

こうしたドラマ脚本を書く際には独特のフォーマットがあります。

以下ではドラマの脚本の基本フォーマットについて、脚本の考え方・書き方のコツとともに紹介します。

回想の書き方やフラッシュバックの書き方など、脚本を書く際によく疑問に思う点についても紹介しているため、ぜひ最後まで目を通して見てください。

1. ドラマ脚本の書き方の基本

ドラマの脚本は基本的に、下記の3つの要素で構成されます。

・表紙 : A4用紙(400字) × 1枚
・人物表 : A4用紙(400字) × 1枚
・本文(1時間ドラマの場合) : A4用紙(400字) × 50~55枚

シナリオコンクールやドラマ制作の打ち合わせの現場では、シナリオ作成用のアプリを使って作成することは少なく、通常はMicrosoftWordなどを使って、A4の用紙設定で作成されるケースが多く見られます。

脚本はスタッフ間での打ち合わせを経て、決定稿となれば、最終的に台本用のフォーマットに変換されて印刷されます。

以下では、表紙、人物表、本文の書き方について紹介します。

表紙

表紙には「タイトル」と「作者名」が入ります。表紙は1枚です。

人物表

人物表は、登場人物に俳優をキャスティングする場合などに必要です。1時間ドラマで大体1枚程度です。長編ドラマや映画の場合は2枚程度になる場合もあります。

人物表を書く際のポイントは以下の通りです。

・「主人公」「副主人公」「脇役」と重要な順に記載する
・登場人物1人当たり「フルネーム」「年齢」「職業」あるいは「主人公との関連性(例:〇〇の父、〇〇の娘など)」を書く
・セリフがない、あるいは一言・二言程度のセリフの端役については、「男1」「「子供1」「子供2」「清掃員」といった役割の記載だけでOK

キャスティングに使うため、年齢設定や、主人公・副主人公などの登場人物の重要度がしっかりとわかるように書きましょう。

本文

本文は、1時間ドラマ(正味50分)の場合は、A4用紙(400字)50枚前後で作成されます。
2時間ドラマ(正味90~100分)や映画(正味90~120分)の場合はA4用紙(400字)90~120枚程度です。
1分がA4用紙(400字)1枚と覚えておくとよいでしょう。

脚本の本文は「柱」「ト書き」「セリフ」で構成されます。それぞれについて詳しくは次の通りです。

柱とはシーンごとの場所と照明を指定するものです。柱の例は下記の通りです。

柱は、例のように「〇場所・朝」などと書きます。〇印の箇所には、決定稿になった段階で通しのシーン番号が入ります。

柱の書き方のポイントは次の通りです。上記の例を参考にしながら確認しましょう。

・柱は基本的に撮影場所ごとに立てる。家の中のシーンでも居間、キッチン、風呂など撮影場所が異なる場合は別の柱にする。
柱では照明の指示のため、「昼」の時間帯以外は「朝」「早朝」「夕方」「夜」などと指定する。(例1参照)
・部屋・家・建物などの大きな空間の場合は、「中」「外」「前」などと場所を明確に指定する。(例1参照)
・回想シーンの場合は〇印の後に(回想)と入れる。回想シーンの終わりには(回想終わり)と入れる。(例2参照)

ト書き

ト書きとは、登場人物の出入りや登場人物の行動、状況の説明をする文章のことです。ト書きは、通常上3マス分あけて書きます。3マスあけた部分は台本として印刷された際に、演出・準備用のメモ書きとして使われます。

ト書きは、俳優が演技をするだけでなく、撮影スタッフが演出や小道具などを準備するためにも必要なものです。そのため、シーン冒頭でその場にいる人物や必要な小道具などがわかるように書きます。

ト書きを書く際のポイントは次の通りです。

・登場人物の出入りや動作を書く。⇒登場人物の出入りや動作を説明します。シーンの冒頭からいる人、途中で入ってくる人などがわかるように書きます。登場人物の名前は慣例として男性は苗字、女性は下の名前で書きます。男性でも、同じ苗字の人が多く出てくる場合は下の名前で記載することがあります。
・その場の状況説明を書く。⇒舞台のセッティングが必要となるため、セッティングに必要な情報を書きます。部屋を使う場合はどんな部屋か、店を舞台にする場合はどんな店かといった説明を書きます。
・ト書きは3行下げて書く。⇒セリフと区別しやすいように、ト書きは全体的に3行下げて書きます。

なお、時間経過の書き方や電話シーンのカットバックなどの書き方などについては、後半のFAQの箇所で紹介します。

セリフ

セリフは、登場人物の語る言葉です。話す人の名前をまず書き、「 」でセリフを囲みます。

ト書きでも紹介しましたが、登場人物の名前は慣例として男性は苗字、女性は下の名前で書きます。男性でも同じ苗字の人が複数出てくる場合は、区別のため下の名前で記載します。

セリフを書く際のポイントは次の通りです。

・セリフは、名前「~(話す内容)」と書く。
・登場人物の名前は原則として男性は苗字、女性は下の名前。
・登場人物のセリフを書くときは、そのセリフに至るまでのト書きで、必ずその登場人物を先に出しておくこと(例えば、太郎のセリフを書く際には、太郎がその場にいることをト書きであらかじめ説明しておくこと)

なお、モノローグやナレーションの書き方は、後半のFAQの箇所で紹介します。

2. ドラマ脚本を書く際に意識すべき点

ここまでの解説で、ドラマの脚本の特性が多少把握できたことと思います。ドラマの脚本は、小説などとは異なり、下記のような特性があります。

・ドラマ脚本は撮影用の指示書である
・ドラマ脚本は心情も映像で表現する
・「太郎が歩く」「花子は周囲を見回す」といった助詞の「が」「は」は使わない

ドラマの脚本を書く際には、上記4点については特に意識した方がよいといえるでしょう。

詳しく以下で見てみましょう。

ドラマ脚本は撮影用の指示書である

ドラマ脚本は撮影用の指示書であるから、

・人物表には登場人物の年齢をしっかり書く。
・柱には「朝」「夜」など、昼以外の特別な照明環境の場合は明記する。
・ト書きには、その場の光景やその場にいる登場人物などを必ず書く。

といった配慮が必要です。きちんとわかるように表現しないと撮影準備に支障がでます。

ドラマ脚本は心情も映像で表現する

ドラマ脚本では、登場人物の心情も映像で表現する必要があります。

「太郎は~と思った」といった表現は使えません。例えば、小道具などを使って心情がわかるように書く必要があります。

NG:  太郎は花子のことを考えた

OK:  太郎は花子の残したメモをじっと見つめた

登場人物の心情は、登場人物が急いで走りだしたり、うろたえたりといった行動でも示すことができます。行動で示すように心がけましょう。

登場人物に助詞の「が」「は」は使わない

脚本やシナリオ独特の表現として、登場人物の行動を説明する際に、助詞の「が」「は」を極力使わないというのがあります。

全く使わないわけではなく、また、全く使ってはいけないというわけでもありませんが、省略するケースがほとんどです。例を示すと下記の通りになります。

あまり使わないパターン:  太郎が歩いていた。 / 太郎が続けて説明する。

よく使われるパターン:  歩く太郎。/ 太郎、歩いている。 / 説明する太郎。 / 太郎、説明を続ける。

「が」「は」などの助詞を使わない理由の一つは、無駄を省き、テンポよく読める(素早く映像イメージを掴める)ようにするためだと思われます。脚本のト書きに「が」「は」の助詞をいれすぎるとどうしても冗長な印象を与えてしまいます。脚本は、文章の丁寧さよりもどういう映像描写にするかといったところが重視され、文章自体は、シンプルで読みやすいものが好まれる傾向です。

3. 脚本の書き方FAQ / 回想・カットバック・モノローグとは?

ここでは脚本の書き方についてのよくある質問について、回答を紹介していきます。

紹介する点は次の9点です。

・回想シーンの書き方は?
・フラッシュの書き方は?
・時間経過の書き方は?
・テロップの書き方は?
・BGMは指定できる?
・アップ、ロングなどカメラワークの指定は?
・心情を語る方法は?モノローグとナレーションの違いは?
・電話のシーン/カットバック

以下で詳しく見ていきましょう。

回想シーンの書き方は?

回想シーンの書き方は下記の通りです。

回想シーンの柱に(回想)と書きます。回想シーンの終わりには(回想終わり)と書くようにしましょう。

回想シーンが2シーン以上続く場合には、2シーン目以降の回想シーンの柱に(回想つづき)と書きます。そして、回想が終わる最後のシーンの最後尾の行に(回想終わり)と書きましょう。

回想明けのシーンの柱には、上記の例のように「元の」と入れるようにしましょう。読み手に、回想シーンと元のシーンと区別を明確に伝えることが大切です。

フラッシュの書き方は?

フラッシュバックのように、一瞬だけある出来事を思い出すといった場合には、回想より短い「フラッシュ」という表現を使います。フラッシュの書き方は下記の通りです。

フラッシュバックのシーンを入れる際には、前後のシーンと区別するために「× × ×」という記号でフラッシュバックのシーンを囲みます。そしてフラッシュバックの状況説明の前に(フラッシュバック)と書きましょう。そうすることでフラッシュバックのシーンであることが読み手に明確に伝わります。

時間経過の書き方は?

時間経過とは、あるシーンにおいて数分あるいは数時間後の出来事を描きたい場合に使う表現です。時間経過は下記のように表現します。

時間経過は、「× × ×」という記号で表現します。もし、時間経過の時間について「30分後」「1日後」などと具体的に示したい場合は、次の項でも紹介するテロップで「T・30分後」「T・1日後」などと説明することができます。

テロップの書き方は?

テロップとは、画面上に文字情報を表示することです。ドラマにおいても、「数年後」と画面上に文字表示をするなど必要に応じて使うことがあります。

テロップは下記のように、ト書きの部分に「T・(テロップに表示したい内容)」と書きます。

BGMは指定できる?

ドラマの脚本では、BGMなどの音楽は、原則として指定しません。BGMなどドラマ中の音楽は監督と音楽担当のスタッフが演出を考慮して決めるからです。

ただしストーリーやキャラクターに音楽が大きく関係する場合などは、ト書きに「~の曲が流れる」などと指定して書くこともあります。

例えば、モーツァルト好きの主人公が部屋でモーツァルトに聞きほれているシーンなどでは、主人公のこだわりを示すために曲名を指定したりすることもあるでしょう。

ストーリーやキャラクターを描写するうえで必要な場合にだけ、例外的に使う曲などを指定すると覚えおけばよいでしょう。

アップ、ロングなどカメラワークの指定は?

ドラマのシーンでは、登場人物がアップで映ったり、ロングショットで映っていたりします。ドラマの脚本を書く場合、このアップやロングといったカメラワークは指定できません。カメラワークについては、演出家・監督の裁量範囲といえるでしょう。

ただし、下記のように、登場人物の行動を登場人物名で終わる書き方にすると、アップをイメージさせるといえるでしょう。

例1)顔をしかめている太郎。
例2)前方を見てハッとする太郎。

下記のように、登場人物から入ると、ロングショットの映像をイメージさせます。

例1)太郎、部屋に入ってデスクを見るやいなや顔をしかめる。
例2)太郎、花子を前方に見つけて走っていく。

このように書き方次第で、書き手のアップ、ロングのイメージを伝えることは可能です。しかし、その通りに撮影されるわけではない点に注意しましょう。

心情を語る方法は?モノローグとナレーションの違いは?

ドラマ脚本では、基本的に心情や状況は映像で表現するものの、モノローグやナレーションで説明されるケースもあります。モノローグとナレーションの違いは、モノローグが登場人物の独白(ひとり語り)調で語られるもので、ナレーションは登場人物とは限らず、ストーリーの進行・解説をするものです。

モノローグ:登場人物の独白・ひとり語り
ナレーション:登場人物あるいは第三者が、ストーリーを解説・進行させるために語るもの

モノローグの書き方は、下記の通り、モノローグを担当する人の名前M「(セリフ)」という形で書きます。

ナレーションは下記のように、N「(セリフ)」と書きます。

電話のシーン/カットバック

ドラマで電話のシーンを見ていると、会話をしている二人の映像が会話に合わせてテンポよく入れ替わりますよね。この異なる場所のシーンが交互に切り替わる映像の撮り方をカットバックといいます。電話のシーンのほか、緊迫した追跡シーンなどでも使われます。

カットバックの書き方は下記の通り、カットバックが始まる箇所に「(以下、カットバック)」と書きます。

4. ドラマの書き方で学ぶべきは書式より技術

以上、ドラマを書く際の基本ルール・書式を紹介しました。ここまでに紹介した書式やルールは、慣れれば誰でも使いこなすことができる簡単なものです。

この基本ルールや書式を知っていたからといって、面白いドラマを書けるわけではありません。また、すごく面白いドラマがすでに頭の中で出来上がっていたとしても、面白いドラマ脚本が書けるわけでもないのです。

ドラマを面白く書くためには、書式以外にもマスターすべきもう一段上の技があります。

世界中の有名脚本家、小説家を指導したシナリオ講師のロバート・マッキーは、「脚本は芸術ではなく技術だ(Screenwriting is a craft, not an art)」といっています。

優れた脚本は、あらかじめ定められた上映時間内に、最低限必要なシーンだけで、効果的に視聴者を惹きつけ、感動させるテクニックの上に成り立っています。

そのテクニックとは、上記で紹介した書式などではなく、キャラクターアークや三幕構成などといった構成やストーリーテリングの手法のことです。多くの人を魅了する脚本を書きたい場合は、これらの技術も学んでいくことがおすすめです。

ただし、まだ脚本を書きなれないうちは、キャラクターアークや三幕構成などと頭でっかちな技術を叩きこまなくても大丈夫です。

最初のうちは、習作を書きながら、好きなドラマをじっくりと見ることがおすすめです。あなたが夢中になって見てしまう大好きなドラマを「なぜこんなに惹きこまれるのか」と、脚本を作る側に立って何度も見るだけで、ストーリーテリングのパターンが身に着いてくるでしょう。

そのあとでストーリーテリングの理論・手法を学ぶことがおすすめです。自分なりに面白いと思えるストーリーテリングのパターンを持っていると、三幕構成やキャラクターアークといったテクニックの理論が理解しやすくなり、脚本作りへの理解がより深まるでしょう。

まずは、自分でも作品を書いてみながら、名作ドラマをたくさん見て吸収していくことがおすすめです。

-脚本の書き方