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脚本の書き方 脚本雑記

3分で読破!「脚本・シナリオの書き方」(内容・創作編)

「脚本を書いてみたいけど、ストーリーをどう作っていけばいいのか分からない……」

脚本を書こうとする場合、書式やルールよりも「そもそもどうやってストーリーを作っていけばいいの?」と内容についての書き方を知りたいと思うことも多いですよね。

脚本の書き方には、書く際のお作法やルールといった書式面についての書き方と、どうやって物語の世界観や展開を作っていくかといった内容面についての書き方との2つがあります。

脚本の書式面についての書き方については、「3分で読破!「脚本・シナリオの書き方」(書式・ルール編)」「【簡単】ドラマ脚本の書き方|回想・カットバック・モノローグの書き方は?」を参考にしてください。

ここでは、どうやって物語を作り上げていくのか、脚本の創作法について解説していきます。

ここでは多くの脚本スクールや教本などで解説されている方法を一つの流れに集約して紹介しています。

これが唯一絶対の創作方法というわけではありませんが、知っておくと「何から手を付けていいのかわからない!」という人でも脚本を書きやすくなるため、ぜひ参考にしてみてください。

それでは見ていきましょう。

脚本創作の手順

脚本を作成する流れは次の通りです。

それぞれ順に見ていきましょう。

手順1)アイデアのタネを探す

脚本を書くときには、アイデアの元は人それぞれです。

・こういう人の物語を書いてみよう
・こういう時代のことを書いてみよう
・この事件をベースに自分の解釈を書いてみよう

などと発想の原点となるアイデアのタネを探しましょう。

「変人YouTuberの恋愛ストーリーを書いてみよう!」でも「30年後の東京を舞台に戦争物語を書いてみよう!」でもなんでもいいので、とにかく、自分が「面白い」「書いてみたい」と思うタネを見つけることが大切です。

アイデアのタネは、次の「ログライン化する」作業と行き来して、何度も考え直したり探し直したりしてかまいません。アイデアのタネは全てのスタートであるとともに、完成までずっと向き合う素材でもあるため、長く関心を持ち続けられるものを見つけるようにしましょう。

手順2)ログラインを作る

ログラインとは、脚本の内容について、どういう話なのか要点や見どころを一文(1~2行)で表したもののことです。

手順1)で考えたアイデアのタネを膨らまし、今から書こうとしている物語が、「一体誰が何をする話か」「どういう魅力があるのか」を、1~2行で端的にまとめてみましょう。

ログラインとは例えば次のようなものです。

鬼滅の刃:鬼に家族を皆殺しにされた平凡な少年が、鬼となった妹を人間に戻そうと鬼退治の旅に出る
タイタニック:豪華客船タイタニックに乗り合わせた貧しい青年がある貴婦人と運命的な恋に落ちるが、二人を乗せた船は氷山に衝突して沈没していく

ヒット作などの優れた作品は、ログライン自体に「皮肉」があり「面白い」と思わせる惹きがあるといわれています。(参考:「SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術」(ブレイク・スナイダー著、フィルムアート社)

ここでいう「皮肉」とは、一般の期待や思惑を裏切るような展開のことを言います。例えば、鬼滅の刃の場合は、「平凡な少年が鬼退治をする」といった点です。鬼を退治するにはそれだけの能力が必要ですが、主人公の少年にはそれがありません。そのため、見る方は「どうやって退治するの?」と興味を惹かれます。

ログラインを作るときは、このように皮肉を含めるなど見どころとなる要素を盛り込むようにしましょう。ログラインに含めるべきポイントをまとめると次の通りです。

<ログラインに含めるべきポイント>
・誰が何をする話か
・誰と誰の話か
・見どころや皮肉

見どころや皮肉を入れるには、「誰が何をする話か」の「誰が」の部分に個性を持たせたり、「何をする」の部分に目新しさのある行動を持ってくるなどといった方法が考えられます。

アイデアのタネが決められない場合には、まずは「こういう話」といったログラインから考えてみることがおすすめです。

ログラインについて詳しくは「ログラインとは?書き方と名作映画のログラインを一覧で紹介」も参照してください。

手順3)登場人物のキャラクターを作る

次に登場人物のキャラクターを作ります。

面白い物語にするためには、魅力ある主人公や登場人物を設定することが大切です。物語の面白さはキャラクターの面白さからくるといえます。

とはいえ、魅力ある主人公と一口にいっても「そんなの人によって感じ方が違うじゃん!」と思うこともあるでしょう。

そういう場合は、主人公のキャラクターに、下記のような2綿製を持たせることがおすすめです。

<主人公の二面性>
・多くの人が憧れるポイント
・欠点など共感できるポイント

この二面性があると、多くの人に受け入れられやすいキャラクターになります。

魅力的なキャラクターの例には次のようなものがあります。

ドラえもん:ポケットから便利な道具をなんでも出せるが、ネズミが苦手
ウッディ(トイストーリー):お調子者で明るい性格で人気者だが、おもちゃとしてはやや時代遅れになりつつある。

「すごい天才だけど、どんくさい」また「すごく性格は悪いけど、猫には優しい」など、ある一面とは対照的、あるいは意外な特性があった方がキャラクターにも奥行きが出て、面白味も増します。

主人公のほかには次のような登場人物が考えられます。それぞれの特性がかぶらないようにキャラクターを設定していきましょう。

<主人公以外の設定すべき登場人物>
・副主人公(ヒロインなど)
・ライバル・宿敵
・メンター・相談役・師匠
・親友・相棒

キャラクターをしっかりとイメージできるまで作り上げるというのは割と難しい作業です。身近な人や、イメージに合う芸能人などから発想を膨らませていくこともおすすめです。

手順4)物語の展開を考える

次に、物語の展開を考えていきます。

物語の展開を考える最も簡単な方法は、

主人公のゴールを設定して、ゴール達成までにさまざまな障害を設定すること

です。

例えば、主人公と副主人公の恋愛ドラマであれば、

  • 主人公のゴール:副主人公と結ばれる

として、主人公がゴールを達成しにくくなるようなさまざまな障害(ライバルが現れる、ヒロインに嫌われることをしてしまう、貧乏すぎて恋愛していられない、など)を設定し、主人公にそれを乗り越えさせていくと、ストーリーは展開してきます。

また、展開を考える際には、次の項で紹介する「三幕構成」「起承転結」などの展開パターンを参考に展開させることがおすすめです。

例えば三幕構成を参考に展開させていく場合は、「第一幕」「第二幕」「第三幕」のブロックに分けて、盛り込むべき要素を箇条書きや短い文章で書き加えていくなどして、ストーリーイメージを完成させていきます。

<三幕構成に従って展開アイデアを盛り込んでいく場合の例>
※映画「タイタニック」を例に使用しています。
「第一幕(設定)」(主人公・副主人公の状況説明をする)
・貧乏画家のジャックは、普通であれば生涯乗ることがないであろう豪華客船タイタニックの3等乗船チケットをポーカーに勝利して手に入れる
・上流階級のローズは、母が決めた婚約者と無理やり結婚させられそうになっている
・ローズが自暴自棄になって海に飛び込もうとした寸前に、ジャックが気づき、ローズを助けた
「第二幕(中盤・葛藤)」(主人公が目標に向かうも、障害が次々と現れ葛藤する)
・ローズを助けたお礼にと、ジャックはローズの婚約者キャルドンから上流階級の晩餐会に招かれるが、キャルドンやローズの母親ら上流階級の人々に見下される。
・ローズはジャックにお詫びをしようとジャックのもとに行き、二人は惹かれあっていく。
・ローズとジャックとの関係に気づいたキャルドンは、ジャックに盗みの罪を着せる。
……
「第三幕(クライマックス)」
・ジャックとローズを乗せたタイタニック号がとうとう完全に海の中へ
・ジャックとローズは船の残骸にしがみつきながら、暗闇の中で救助を待つ
……

この箇条書きや短い文章で、ストーリーの流れを書いたものを「プロット」と言います。プロットを書いて、構成を練っていきましょう。

なお「三幕構成」について詳しくは、「三幕構成とは?ハリウッド式の考え方とおすすめ本を紹介」を参照してください。

手順5)展開を脚本に書き起こしていく

ストーリー展開の案が固まったら、その展開案をもとに脚本に書き起こしていきます。

構成案には一行で書けた内容でも、脚本に起こすには、数シーン数ページにわたって表現することが必要です。

例えば、下記はごく単純化した書き起こしの一例です。映画「ハリー・ポッター」の例で解説しています。

<構成案での表記>
主人公のハリーは両親を亡くし孤児となり、母方の叔母に引きとられるも使用人のように扱われ窮屈な日々を送っている。

<脚本に書き起こした場合>
〇ダーズリー家・階段下のクローゼット・中
   額にイナズマ模様の傷のある少年ハリー(10)が狭いクローゼットの中で眠っている、ドンドンという物音がする。

〇同・前
   ペチュニア伯母さんが、荒々しくハリーの眠るクローゼットの扉をドンドンと叩いている。
ペチュニア「起きなさい! 今すぐに!」

〇同・上
   ハリーの眠るクローゼット上の階段をドタバタと降りてくる太った少年ダドリー。ハリーの眠っているちょうど上当たりに来ると、わざとドスンドスンと飛び上がって大音を立てる。

〇同・中
   ハリーは、大きな音とダドリーが飛びはねたことでポロポロと頭の上から落ちてくるホコリにまみれながら目を覚ます。
(……まだまだ続く)

構成案を、具体的にどういう映像で描いていくかイメージしてから、脚本の書式のルールに沿って言葉にしていくようにしましょう。

脚本の書式のルールは「3分で読破!「脚本・シナリオの書き方」(書式・ルール編)」を参考にしてください。

さらに詳しく学びたい場合の参考本は?

脚本の創作法についてさらに詳しく学びたい場合は、次の本がおすすめです。

シナリオの基礎技術

シナリオ教本としておすすめなのは「シナリオ基礎技術」です。

とても分厚い本で、読みやすいとはいいにくいものの、シナリオの書き方の基本ルールのほか、小道具の使い方や説明セリフを使わないで展開させるコツなど、脚本を書く上でのテクニックが満載です。古い本ながら、現在も有効な手法が掲載されているため、脚本を書き続けようという人には必携の本です。

脚本の書き方が身につくまで、辞書として一冊持っておいた方がよい本といえます。

Save the Catの法則

「Save the Catの法則」は、シナリオの書き方の基礎は身に付いていて「書式とかルールはいいから、面白く書く方法が知りたい!」という人におすすめの本です。内容は中・上級者向けですが、読みやすいので、まだ書式をマスターしていない初心者でも楽しく読めます。

プロの脚本家やプロデューサーの多くが読んでいる本です。

ヒット作を作るうえで押さえておくべきポイントが、多くの映画を使った事例解説によってとても理解しやすくなっています。面白いキャラクター作りやストーリー作りに必携のテキストのため、「面白い作品が書きたい!」という人はぜひ参考にしてみてください。

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術

「映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術」は三幕構成について実践的に学ぶことができる本です。内容は中級者向けですが、世界的ベストセラーの本で、商業的に脚本を書いていこうという人には必読の本といえます。

第二巻は実践的なワークブックにもなっており、独学にも向いている本です。

まとめ

脚本の創作方法について紹介しました。

「脚本の書き方」について身に付きやすい方法は「書きながら学ぶ」ことです。基本ルールをマスターしたら、どんどん書いていきましょう。

書いて行き詰まったら、「三幕構成」などの基本ルールを再度確認したり、実際の映画やドラマで「三幕構成」が具体的にどのように描かれているか参考にしたりしてみるといいでしょう。

多くの事例を見ることで実践的なヒントを得ることができ、さらに作りやすくなっていきます。

上達のために、とにかく書きすすめていきましょう。

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