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脚本の書き方

プロットの書き方|小説や脚本を書くためにマスターしたい活用法を紹介

「プロットって何? どうやって書くの?」

小説や脚本の書き方を学び始めると、「プロット」という言葉を耳にすることもありますよね。

プロットとは、これから書く予定の小説や脚本の物語の流れを示すメモのことです。ストーリーの中で起きる出来事を書きだしていきます。

創作において、プロットは必ず書かなければならないものではありませんが、プロットにするメリットが多くあるため、創作に煮詰まった場合や、作品をブラッシュアップしたい場合などには、プロットにして考えることがおすすめです。

プロットの意味やプロットの書き方、プロットの活かし方について詳しく見ていきましょう。

プロットとはストーリーの展開をメモしたもの

冒頭でも触れましたが、プロットはこれから作る予定のストーリー展開をメモしたものです。ストーリー中に起こる出来事を展開順に書きます。

【プロットの例】
タイトル「桃太郎」

山におじいさんとおばあさんが暮らしている。
ある日のこと、おばあさんが、川に洗濯に行くと川上から大きな桃が流れてきた。
おばあさんが桃を家に持ち帰って桃を割ってみると、桃から桃太郎が生れた。

おじいさんとおばあさんは桃太郎を育てることに。
桃太郎は成長し、鬼が村の人たちを困らせていることを知る。
桃太郎は「ぼくが鬼退治をする」と決意する。

桃太郎は鬼退治のために鬼ヶ島へと向かう旅に出た。
旅の途中で、猿やキジ、犬と出会い、きび団子を分け合い仲間となった。

鬼ヶ島にいよいよたどり着く桃太郎たち。

桃太郎たちと鬼は激戦を繰り広げる。
桃太郎は勝利して、宝を土産に、おじいさんとおばあさんのところへ帰っていく。

プロットは自分用に作る場合は、書式にこだわらず、ラフな箇条書きで構いません。創作当初のプロットは起承転結などの流れが網羅されていない、ただのアイデアを羅列しただけのメモの場合もあります。

後で解説しますが、プロットは創作のために自分用に書く場合と、書籍の編集者や映画やドラマのプロデューサーにこれから書く作品の企画をアピールするために作る場合とがあります。

自分用にはラフな書き方でもOKですが、人に見せる場合は、作品の良さを理解してもらいやすいように、読みやすい文章に整えるようにしましょう。

なぜプロットが必要なのか

プロットは、物語を作るうえで多くの利点があるため、作った方がよいといえるでしょう。

ちなみに、物語を書く際にプロットを作らない人もいます。アイデアが次々と湧き出すように出てきて物語を書ける人や、計画的に物語を作るとつまらなくなると思っている人はプロットを作りません。実際にプロットが書けない作家もいます。

それでも、多くの人がプロットを書くのは、プロットには次のようなメリットがあるからです。

・これから作る物語の流れを客観視でき、足りない要素や無駄な要素がわかる
・これから物語の内容を膨らましたり練ったりするための土台として使える
・小説やドラマ・映画の構想を、編集者やプロデューサーに伝えるのに役立つ

プロットはよく創作の初期、ストーリー展開のアイデアを検討する際に使われます。

創作初期のアイデアを文字に書きだしてみると、ストーリーのゴールまでに何が足りないかが見えくるというメリットがあります。

例えば、頭で考えているアイデアを、「起承転結」や「三幕構成」などの典型的な構成の流れに当てはめて並べてみると、パーツが足りなかったり、構成の一部分に出来事がかたまってしまったり、と物語の流れの過不足を把握することができます。

また、そうした過不足のある未完成のプロットをもとに、足りない部分は足していったり、無駄な部分は削っていったりと、ストーリーを練っていく作業がしやすくなります。

プロットを作ると展開がありきたりになってしまうという人もいますが、それはプロットの使い方を誤解しているためといえます。

多くの場合、当初のプロット通りにストーリーは出来上がりません。プロットを練っていく段階でプロットは変化し、さらに、プロットから小説や脚本のシーンに起こしていくときにも、プロットで描いた展開から変化することはよくあります。

プロットはあくまでストーリーの構想を深めるための道具です。プロットは、小説や脚本を組み立てていく前の土台であり、その通りに厳密に作り上げていく必要はありません。

また、プロットは「作品の構想」として、出版の企画書、あるいは映像化の企画書に書いて、編集者やプロデューサーに見せる場合にも使えます。

プロの小説家や脚本家になった場合、編集者やプロデューサーから発注を受けるため、実際に作品を書きだす前に「企画案」のようなものを提示して、作品化するかどうかの判断を仰ぐケースがよくあります。その際にも多少なりともプロットを書く必要があります。

その際のプロットは、物語の流れを淡々と記すのでなく、物語の展開やキャラクターの面白さが伝わりやすいように、セリフを入れたり展開の流れを工夫したり、読みやすいように段落を分けたりといった配慮が必要になります。

プロットとあらすじの違い

「プロットとあらすじはどう違うの?」と疑問に思うこともあるでしょう。

プロットとあらすじは似ていますが、違いをまとめると下記のようになります。

あらすじプロット
完成した作品の内容を紹介するものこれから制作する予定の作品の内容を示すもの
第三者に向けて書くもの主に自分向け、あるいは編集者やプロデューサーなど製作関係者向けに書くもの

あらすじは、主に完成した作品について、「この作品はこういう物語です」と読者や視聴者向けにアピールするために書かれた概要のことです。

プロットは、主にこれから製作する作品について、自分の考えを練っていくための土台です。あるいは、「こういう作品を書く予定です」といったことを編集者やプロデューサーなどの出版や製作関係者にアピールするためのものです。

あらすじとプロットでは、書く目的や見せる対象が異なっているといえます。

プロットの書き方

では、実際にプロットを書く場合にはどうすればいいのかについて紹介します。

自分用に書くプロットの書き方には特に決まりはありませんが、下記のように作るといわゆる「ハリウッド式脚本術」などストーリー作りのノウハウを生かして作ることができます。

手順1:アイデアをログラインにしてみる
手順2:主人公と舞台設定を決める
手順3:「三幕構成」あるいは「起承転結」など構成の枠組みに分けてアイデアを書き留める

具体的に見ていきましょう。

手順1:アイデアをログラインにしてみる

まず、世界観とどういう話かを把握するために、今考えている作品のアイデアを1~3行程度のログラインにまとめてみましょう。

ログラインには「どういう主人公が何をする話か」というストーリーラインを書きますが、その中に見どころとなるポイントを加えておくようにしましょう。

見どころなるポイントを加えるには、例えば、下記のような要素を入れて設定やストーリーの流れに新鮮さやギャップなどを設ける方法があります。

・目新しい設定(よく知られていない職業の主人公など)
・ゴールを達成するイメージとは真逆のキャラクターが、ゴールを達成する(弱小野球部が全国大会で優勝するなど)
・主人公が望むこととは真逆の状況に陥る(恋に落ちた相手と生き別れてしまうなど)

特にコンクールでの受賞することや、作品を一般的に売り出そうと思っている場合は、ログラインに引きのある作品にしておくことがおすすめです。

ログラインの重要性や書き方について詳しくは「ログラインとは?書き方と名作映画のログライン一覧を紹介」の記事も参考にしてください。

手順2:主人公と舞台設定を決める

プロットを書く前に主人公と舞台設定を決めておきましょう。

主人公と舞台設定を決めておかないと、プロットで描くストーリーに一貫性がなくなってしまいます。

あくまで初回のプロットを書くためのものなので、プロットを練っていくうちに多少変わっていくことはかまいませんが、主人公と舞台設定の大枠を決めておかないと、プロットを使ってストーリーを膨らませたり修正したりしても意味のないものになってしまいます。

主人公と舞台設定は、あらかじめ決めておくようにしましょう。

手順3:「三幕構成」あるいは「起承転結」など構成の枠組みに分けてアイデアを書き留める

プロットを書くときは、ストーリー展開を「三幕構成」あるいは「起承転結」などの構成の枠組みに分けて書くことがおすすめです。足りない要素が把握しやすくなります。

構成の枠に当てはめて書く例としては、例えば「起承転結」の場合は下記のようになります。

構成プロットの内容
起:物事の起こりorもともとの状態赤ん坊のころに両親を闇の帝王に殺されたハリーポッター。ハリーは、11歳になるまで、人間界で自分が魔法使いとは知らずに暮らしていた。だがある日、ハリーのもとに魔法学校への入学許可証が届く。
承:物事が本筋に向かって展開するハリーは魔法学校に進学することになる。そこで、魔法を学びながらロンやハーマイオニーという親友も得る。
ハリーは、闇の帝王が、学校に保管されている「あるもの」を狙っていることを知る。
転:事態が一転する出来事が起こるハリーは、闇の帝王が、今にもその「あるもの」を奪い取ろうとしていることを知る。
闇の帝王から魔法界を守るためにも、ハリーはロン・ハーマイオニーとともに、「あるもの」を闇の帝王から守るべく立ち上がる。
結:解決する、成果が示されるハリーは闇の帝王から「あるもの」を守ることに成功する。
※「ハリー・ポッターと賢者の石」(J.K.ローリング著/静山社刊)の内容を例にしています。

三幕構成の場合は下記のようになります。

構成プロットの内容
第一幕(状況設定)
セットアップ両親を亡くしたハリーは、親戚のダーズリー家で育つが、ダーズリー家のバーノンおじさん、ペチュニアおばさん、いとこのダドリーから召使いのようにこき扱われていた。
そんなハリーのもとに「ホグワーツ魔法学校の入学許可証」が届く。
そこで初めてハリーは自分が魔法使いであることを知る。
しかも、自分の両親が闇の帝王であるヴォルデモートに殺され、ハリー自身もヴォルデモートに命を狙われていたことを知る。両親がハリーを守ったことによりヴォルデモートは瀕死の状態となり姿を消していた。
第一ターニングポイント(二幕へと向かう転換点)ハリーは、ホグワーツ急行に乗り、ホグワーツ魔法学院へと向かう。
第二幕(葛藤)
ハリーのホグワーツ魔法学院での生活が始まる。
魔法を学びつつ、ロン・ウィーズリーという少年と、ハーマイオニー・グレンジャーという少女との友情を育んでいく。
ミッドポイントハリーの命が狙われる。ハリーの命を狙ったのはスネイプ先生だと思われた。
ハリーとロン、ハーマイオニーは、闇の帝王ヴォルデモートがスネイプ先生を使って、学校内に隠されている「賢者の石」を奪おうとしていることを知る。
「賢者の石」をヴォルデモートが手に入れるとヴォルデモートは魔法界に復活しまう。
第二ターニングポイントハリー達は、ダンブルドア校長のいない今夜を狙って、スネイプ先生が「賢者の石」を奪いに来ると悟り、自分たちでそれを阻止しようとする。
第三幕(解決)
ハリーは、闇の帝王ヴォルデモートと対決することになる。
ハリーが勝利する。
※「ハリー・ポッターと賢者の石」(J.K.ローリング著/静山社刊)の内容を例にしています。

「三幕構成」について詳しくは、「三幕構成とは|おすすめ本とハリウッド式メソッドを紹介」を参考にしてください。

上記のような枠組みに分けて、プロットを書くと、足りない展開ポイントを把握することができます。足りないポイントを生めながらストーリーを展開を考えていくことができます。

まとめ

プロットの書き方について紹介しました。

プロットは、これから作る物語の流れを膨らましたり練り直したりすることのできる便利な手段なため、ぜひ活用するようにしてください。

名作映画などからプロットを書き起こして見ることも、創作の勉強となるため、おすすめです。多くの映画を見て参考にしつつ、どんどん自分でも作品を書いていくようにしましょう。

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